2012年6月7日木曜日

展示の後日談(1)

先月の展示。
ぼちぼち、その後の片付けを進めています。
今回は久しぶりの展示。
熱気も収まって振り返ってみると、いろいろと感慨深いことがあったんですよ。

展示をやるには、「やりますよー!」という告知が必要。
なんですが、ここ数年は美術展ばかりに参加。
展示をやっていたときの住所録が5年ほど前のものでした。
とりあえず、それをもとに案内状を送付させていただいたのですが・・・

あーーーー! やっぱりorz
戻るわ、戻るわ・・・。
たくさんの案内状が「あて所に尋ねあたりません」の赤スタンプを押されて戻ってきました。

住所を見れば、「○○町X-Y-Z-201」のように部屋番号があるものがほとんど。
この数年の間に引っ越されたんだなぁ。
結婚か? いや、ほかのケースもあるよな。
でも、中には部屋番号がなく、番地だけのものも。
ってことは、売却? マンションにでも建て替えたんだろうか?
いろいろと下世話な想像をしたりもしたのですが(ゴメンナサイ)、とにかく転居された方々がたくさんいらっしゃいました。

そんな中、ある方からお電話を頂戴することがありました。

「あのー・・・一応、ご連絡しておいた方がよいかと思いまして・・・」
と、語られた男性の方からのご連絡は、

「実は、案内を頂戴した家内は5年前に亡くなりまして・・・」
「え! それは大変失礼なことをしてしまい、申し訳ありませんでした!」
「いえいえ。で、家内とは、いったいどのようなご関係で?」

ということで、
私が作品を展示していたこと、
どこかの展示をご高覧いただいた際に住所を頂戴し、今回の案内を送付したことなどを話したところ、

「あぁ、そうだったんですか。
家内はあまり刺しゅうはやらなかったんですが、
私の母が好きでやっていたんですよね。
そばで見ていたから、興味があったのかなぁ。
本当はやりたかったんだろうか?」

と、しばし、生前の奥様を思い出されたご様子。
こうだっただろうか? ああだっただろうか?
と、亡くなって数年後に初めて知った奥様の一面を想像されていました。

知らなかったこととはいえ、私としてはご気分を害されたのではと冷や汗状態。
「申し訳ありませんでした!」と電話を切ったら、なんと! 20分も話してました。

ご主人も、たった一枚の案内状からこんな会話になるとは思ってもいなかったでしょうね。

この、時空を超えた不思議な会話。
私にとっても、自分の回りに張り巡らされた見えざるネットの中に、自分の存在と行動があることを感じ、非常に感慨深いものがありました。

いったい彼女は、
どの作品を観て、
どんな感想をもって
名前を残そうと思ったのか?

私の作品は、
彼女の感情を
多少なりとも揺さぶることが
できただろうか?


展示って、本当に一期一会。
その一瞬に、
相手に何かを伝えられるような
作品を作らなくっちゃな。





hiroko Inagaki art work

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2 件のコメント:

  1. インパクト ありましたもの。

    弔いには思い出すこと、思うことが一番ですもの。
    よいお話ありがとうございました。raintree

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  2. >raintreeさん
    不思議ですよね。
    全く知らない方、それも亡くなった方なのに、その方のご生前の小さな行動が、ご主人にも私にも強くいろいろな念を掻き立てるんです。
    まるで生きている方のように。
    形はないけれども、思うことで確かな存在は今に続くんですね。
    自分もそうなりたいと思いました。
    私の場合は、後々やられた! と思われるような、意地悪ばあさんになります(笑)。

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