2015年1月25日日曜日

額装。
作品に額をしつらえて空間を飾るという行為は、日本に定着したとは思えない。
が、ときたま額装までを依頼されることがあるため、「額装」について考えてみた。

作品をさらにグレードアップするため。
作品の保護や収納を可能とする実用性のため。

額装の役割を考えるとき、ほかにもいくつか思いつくが、
もっとも大切な役割は飾られる空間と作品との繋ぎじゃないかと思う。

作品は、どんなものにも雰囲気がある。
飾られる部屋にも、それぞれの雰囲気がある。
気に入った作品を飾ろうとしても、作品が醸し出す雰囲気がその部屋に合うとは限らない。

作品が放つ個性を箱に納めて少し和らげる。
そして、適度な品格を保ちながら部屋に修まるように落ち着ける。
これが額装の本来の役割のはずだ。

だから、個人的には、額装は作家がやることだとは思っていない。
作家が額装しようとすると、どうしても作品を中心に考えてしまう。
作品の雰囲気に合った額、作品を雰囲気を強く打ち出す額を選んでしまう。
展示会場やパグリックスペースはそれが功を奏するだろう。
でも、一般個人宅だったらどうだろう?
おそらくアクの強さを感じることもあるんじゃないだろうか。

もし予算と時間に余裕があるなら、自分の部屋に合わせて額を作ってもらうことがお勧めだ。
小さい額屋さんは、個性的なものや特殊なサイズなどもあり、特注の幅が広い。
しかし、額装にそこまでお金をかける人はそう多くいない。
一般的には、出来あいの額を比較して選ぶ人が大半だ。
首都圏の大型店を頼り、理想に近いものを探すことになる。
しかし、そのときも、必ず作品を飾る空間を考えておくことが重要だ。

冒頭でもいったように、日本にはまだ額装の文化は浸透しきっていない。
日本文化の基本には、伝統の侘・寂がある。
部屋を飾りたてるよりは、整然とした静けさをたたえる空間を好んできたし、
掛け軸や生け花などの伝統文化は、四季のや来客に合わせて変化する装飾文化だ。
現代でも、断捨離はある種の美徳かのように思われている。
生活仕様と空間がどんなに西洋式になっていても、
空間をデコレーションするという文化に日本人がまだ慣れていないからだ。

だからこそ、なんらの作品を飾るときには額装を考えてほしい。
侘・寂のような部屋であるなら、なおさら額で部屋と調和を図ることは重要だ。
まずは、保護や保管の利便性を考えて、実用のために額装してみる。
そして、部屋に作品という客を馴染ませるために、仕上がった作品に自分でひと手間を加える。
作品は観てもらうためにある。
観る人が空間に迎え入れてくれてこそ、作品の本当の完成じゃないかな。
額装は、アートを身近に、そして自分のものとしてくれる一助だと思う。



ちなみに、額を購入してからの注意点。

乾燥。
落下などの強い衝撃。

額は板4枚の角を45°にカットして
組み合わせて作られている。
強い力が加われば、
この合わせ部分に歪みが生じる。
また、長く乾燥した場所に置くと、
合わせ部分が開きだしてしまう。

額は決して安くない。
長い付き合いができるよう、
納得して選び、
その後のケアも気遣いたい。

hiroko Inagaki art work

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