2015年7月15日水曜日

クジャクの飾り羽

5月展示のキャプション公開振り返り。
展示のときのキャプションに、若干手を加えております。


人間界では、先月、6月はジューン・ブライドのおめでたい月だ。
動物界では、ド派手な求婚で知られるクジャク。
しかし、その演出も6月ごろがピーク。
7月ともなると、そろそろ様相が変わってくるらしく・・・。


ということで、今日はクジャク。


 


【インドクジャク/Pavo cristatus(インド国鳥)
キジ目 > キジ科 > クジャク属
全 長 : オス最大約230cm(上尾筒たたみ時)、メス約90cm
分 布 : インドを中心としたその周辺国


 クジャクの特徴は、なんといっても七色の反射光を放つ上尾筒(飾り羽)。その上尾筒を大きく広げ、ゆったりとウォーキングする姿は実に優美だ。クジャクは、その美しさとは裏腹に、木の実から昆虫、爬虫類まで何でも口にする雑食派だ。人間の害となるサソリやコブラまでも食べることから、長く益鳥として珍重されるうちに信仰の対象となり、ついには人間の三毒(貪:貪り、嗔:怒り、癡:愚痴)も取り除くという密教の格の高い菩薩様、孔雀明王にまで祭り上げられている。その菩薩様の後光もまた、美しく開いた上尾筒だ。
 
 この上尾筒をもつのはオス。メスの産卵期である春先から初夏に向けて、背の中間あたりから伸びはじめ、自身の体長の2倍以上もの長さになる。いくら軽い羽といっても、長い束を引きずりながらでは簡単に飛び立つこともできない。動きが機敏で相当な筋力を兼ね備えていないと、外敵から身を守りぬくことは難しい。上尾筒を美しくキープしていることは、敵をかわしながら強く生き残ってきた男の証でもある。
 恋の季節になると、オスはメスに向かってこの上尾筒をグイと持ち上げて広げ、ときおりシャカシャカと音をたてて震わせながら、猫のような鳴き声で迫る。
 「こんなに長い羽を持ち上げる力もあるし、派手で目立ってるのに外敵にも虫にもやられず無傷でキレイ。オレ、結婚相手に最適」
 そう、美しさを誇るポージングをしながら口説くわけだ。
 一方メスは、一見そっけないふりをしてみるものの、視界いっぱいに七色の目玉模様を広げられ疑似視線を浴びせられると、恍惚となってよろめいてしまうという説がある。事実、上尾筒が密にそろって目玉模様をたくさんもつオスのほうが交尾回数が多いという統計が出ている。見た目じゃないよ、男は中身。しかし、恋の駆け引きに見た目が有効手段となることは明白だ。
 
 この立派で美しい上尾筒、いつもあるわけではない。メスの産卵期も終盤となると1本、また1本と抜け落ちていき、オスのなりは小さくみすぼらしくなってしまう。凛と胸を張り、たっぷりとした上尾筒を輝かせるオスの優美な姿は、来年の春まで待たなければならない。
 人間界のオスにもまた、1本、また1本と抜け落ちる現象がある。残念ながら、こちらは1年後に復活することはまれだ。


hiroko Inagaki art work

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