2015年9月27日日曜日

アカコブサイチョウの夫婦

昔、何かの番組で見たアカコブサイチョウ。
大変に色彩が美しく、大きく堂々としていて、いつか作りたいと思っていた鳥でした。
いつも作るときには、被写体についてあれこれ調べながら深掘りしていきます。
で、調べ上げた結果、そっとしておいてあげたいと思った鳥でした。
作りながら、自分の感情の荒波も、アカコブサイチョウに静められていくような感じも。

そのアカコブサイチョウのキャプション紹介です。

5月展示のキャプション公開振り返り。
展示のときのキャプションに、若干手を加えております。




【アカコブサイチョウ/Knobbed Hornbill】サイチョウ目 > サイチョウ科 > ナナミゾサイチョウ属
体 長 : 約100cm(翼長:150cm~)
分 布 : 東南アジアを中心に、インド、中東、さらにオーストラリアの含むジャングル


 サイチョウは、その名のとおり、サイに似た大きな突起を長いくちばしに乗せた大型の鳥だ。アジアを中心に多種が広く分布しているが、中でも、インドネシア、スラウェシ島の固有種であるアカコブサイチョウの美しさが際立っている。シュッ、シュッと空気を切る大きな羽音。森林のはるか遠くまで届く犬の遠吠えのような鳴き声。いずれをとっても、熱帯の王者、怪鳥と呼ばれるにふさわしい条件を兼ね備えている。

 では、ライオンの群れのようにハーレムでも? と思うが、案外、彼らの生活ぶりは実に静かで地味だ。
 カップルになったアカコブサイチョウは、樹上50mという高所の洞穴に愛の巣をつくる。メスが産卵のため洞穴に入ると、くちばしを出し入れできるだけの小窓を残し、夫婦は糞と泥で洞穴をふさいでしまう。ここからのオスが実に献身的だ。産休をとって動けない奥さんのため、亭主は、せっせと食料運びを始める。彼らの餌は、木の実や昆虫。大型鳥類の食事にそんなちょびちょび木の実を運んでいては大変だろうと思うが、アカコブサイチョウには食糧収納用の咽袋が付いている。オスは、そこにある程度の食糧を詰め込むと巣穴まで運び、喉奥から一つずつ絞り出しては、洞穴の小窓から中に送り込む。
 このオスの育児参加(援護)は、産卵、子育ての約4カ月、子供が巣穴から出られるようになるまで続く。その間、浮気は論外だ。
 野生動物には、短い繁殖期間中に相手をとっかえひっかえというオスもいれば、子育てが終わると夫婦関係をさっさと解消して次の異性に乗り換えるメスも多い。相手を一人(羽)に決めてしまうと子孫繁栄の可能性が低くなるからだ。
 アカコブサイチョウは、天敵が少なく生存可能性が高いためか、子どもが巣立っても一緒になった相手と生涯添い遂げることで有名。子育てを終えた夫婦は、ジャングル樹上、特に高いところに静かにそっと寄り添っていることが多い。ささやきあうようにくちばしを近づけてみたり、相手の羽をなでるように顔を寄せるしぐさを見せる。
 ジャングルの高所から遠くを見据える物静かな熱帯鳥類のキングとクイーン。彼らは人間の営みを見て何を思っているだろうか。
 


hiroko Inagaki art work

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