2015年10月9日金曜日

そのメス、狂暴につき ワオキツネザル

この作品は、3年ほど前の制作物です。
まだミシンステッチに傾倒せず、針1本を握っての手作業で作っていた時期。
30×30cm 程度の大きくはない作品に、3カ月以上もかかりました。
長くかかえていると、いろいろな想念が浮かんでは消え、浮かんでは消え・・・。
そうこうするうちに、自分の気持ちまで刺し込んでいたような感じがします。
ワオキツネザルととほぼ一体。
同化しているような気さえします。
そして、このサル・・・・・・とっても狂暴なんですよ、フッフッフッ。

5月展示のキャプション公開振り返り。
展示のときのキャプションに、若干手を加えております。



【ワオキツネザル/Lemur catta】
霊長目 > キツネザル科 > ワオキツネザル属
体 長 : 約100cm(含む尾)
分 布 : マダガスカル島南部

 黒い「輪」模様を連ねた、ふさふさとした「尾」をもつことから、この名がつけられたサル。顔つきがネコのようでもあり、太陽に向かって両腕両脚を広げて日向ぼっこするしぐさがユニークで、そのかわいらしい姿はメディアでもよく紹介されている。
 が、実際は、縄張り意識が非常に強く、大変に喧嘩っ早いサルだ。
 
 彼らは10~20匹ほどの群れをつくって生活するが、完全なる母系社会で、いわゆるボスザルもメス。その母系の中にも、ボスを筆頭とした厳しい序列があり、そこに元来の気性の荒さが加わって、「生意気だ」「餌に手出すな」の引っ掻きあいの泥仕合は日常茶飯事だ。喧嘩ができてこそ一人前。ワオキツネザルのメスは、生傷が絶えることがない。
 非常に気性が荒いメスだが、お隣さんの乳の出が悪いと聞けば自分の母乳を与えてやり、新米ママにはベテランがついて子育てを指導。厳しい掟の中でも、子育て優先で秩序をつくろうとする社会性も持ち合わせている。
 メスは、こうして群れの秩序と喧嘩道を体で覚えて育っていく。
 
 彼らは、生息域がマダガスカルの一部と狭いにもかかわらず、行動範囲が広い。そのため、森の中で別の群れと鉢合わせし、餌場をめぐっての抗争が起こることもたびたびだ。このとき、体を張って自分のシマを守るのはメスの役目。子どもを負ぶってでも戦闘に参加し、敵に飛び蹴りをくらわしながら流血の大乱闘を繰り広げる。敵も味方も、全員がメス。この間、オスたちは遠くに身を隠し、息をひそめて抗争の成り行きを見守りながら、決着がつくのを待つ。

 子育てもメス、喧嘩もメス。こうなれば、群れの中でのメスの地位が高くなるのは当たり前。食事をするのもメスが優先。やっと餌にありつけても、メスに「よこせ」と言われれば、オスは黙って渡すしかない。メス、恐るべし。

  じゃあ、オスって、いったい何やってんの?

 隅に追いやられたように見えるオスだが、年に一度、オス同士の死闘を繰り広げる時期がある。メスの発情期だ。野生のワオキツネザルのメスの発情期は、1年のうちにわずか数十時間。子どもができず母系社会に血のつながりを作れないオスは、群れを追い出される危険性もある。オスにとっては、命をかけての数時間だ。
 しかし、血の濃さを避けてか、オスは3年ほどするとフラリと群れを離れ、新しい群れに移る。特定の群れに執着をもたない。自分の役割は、子づくりだとわかっているのだろう。
 ワオキツネザルのオスは、群れで地位を得ることはできない。だが、常にフリーダムだ。
 


hiroko Inagaki art work

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